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  • 執筆者の写真ShinFukuda

幸せであるということ



さて、最近私は折に触れて「幸せ」とはなにかということをよく考えます。


毎日外来で数十人の方々と触れ合い、また心療内科であまりコンディションがよくない方々とお話をする機会が多かったり、あるいは家庭において家族たちと同じ空間にいる中で必然的に想起されるテーマだったりするからでしょうか。


幸せと一言で言っても人それぞれです。おいしいケーキを食べた時などに瞬間的に感じるハピネスもあれば、心身社会的に良好な状態であることを示すウェルビーイングという概念もあります。

お金が幸せには必要だという人もいれば、お金なんて関係ないという人もいます。

まったく同じ状況に置かれていても幸せと感じるときもあればそうでないときもあります。


幸せに関する研究も数多くされておりますが、いまだ画一的な概念がないのが実情であり、幸せになりたければこれをすればいい、という魔法は残念ながら今のところありません。


そんな中で今回は、自然科学的な視点からこの幸せについて考えてみたいと思います。


幸せを感じるのは、体のどこでしょうか。

いきなりですが答えは、脳です。

脳の中では様々な神経伝達物質が神経細胞を行き来しており、その中でも幸せに紐づくとされているのが「セロトニン」「ドーパミン」「オキシトシン」だといわれています。


セロトニンは安心・安全と関連します。

さすがにこの日本において衣食住のに不安を抱えているひとは少ないと思いますが、やはり心身の健康は幸せのベースを作るうえでとても大切な要素ですね。


ドーパミンはワクワクする気持ちと関連があります。

趣味があったり、生きている楽しみがあったり、チャレンジ精神があると幸福度は上がります。


オキシトシンはつながりと関連があります。

家族とのつながり、友人とのつながり、地域とのつながり。居心地のよいコミュニティに属しているという状態は幸せを感じるためにとても重要です。


これは自然科学的な文脈において私の考えや経験を接続してまとめたものであり、絶対的なものではありませんし、科学的に証明されているものでもありません。これを読んでどう感じるか、ということが大切です。


注意しなければならないとても重要なポイントがあります。


自分はセロトニンが全然出てないからダメだ、ドーパミンが欠乏しているから不幸なんだ、というように感じてしまってはますます幸福感が薄れていくということです。

自分のいまの状態をよく理解して、その状態にOKを出してあげる。これこそが最も大切な考え方なのです。


自分の現在位置(置かれている状況や心身のコンディション)を明確に理解しつつ、「今」を自然体でしっかりと生きることが幸せなのかなと思います。

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