一口に「うつ病」といっても、その症状の現れ方や原因などは千差万別です。
したがって、うつだったら抗うつ薬飲んでもらえれば治癒する、というわけにはいきません。
100人いたら100通りの対応が存在します。
現代の医学では、当たり前のように「精神医学」と「身体医学」にわかれております。
ただ総合内科医として長年多くの患者さんと向き合っているうちに、精神と身体を分けることの弊害を感じ、「心」も体の中の「ひとつの臓器」として考えることで様々な問題が見え、そして解決することがわかりました。
病は気からという言葉は昔からありますが、気持ちによって病がつくられてしまうこともあれば、逆に病によって気持ちが落ち込んでくることもあります。
これを完全に分けて診療することはおかしなことですね。
したがって「内科医」が「精神医療」を行うことは至極妥当なことだと考えています。
では、心療内科診療の「ゴール」とは何でしょうか。
とにかく絶好調でなにもかもがうまく行っている、幸せで満ち溢れているという状態をすべての人に求めるのは難しいと考えています。
結局はありのままの自分を受け入れ、大好きな自分や大嫌いな自分すべてをひっくるめて、これでOK!と思えるような状態になることがゴールなんだと思います。
そこには「自分以外の他人」という因子は存在しません。
つまり他人といちいち比較する必要はなく、他人から悪影響をうける必要もありません。
なぜならば他人は変えることはできないからです。
変えられるのは自分の考え方、受け止め方、そして在り方です。
自分の過去も変えることはできません。
いまこの瞬間を自分なりに光り輝き、未来に向かってマイペースで進んでいければそれでよいのです。
心療内科治療における、薬物治療とはなんでしょうか。
はっきり言います。抗うつ薬だけでうつ病は治りません。
基本的に薬物療法というのはあくまで回復のきかっけを与える補助的なものと位置付けています。
ちょっとメンタルコンディションを整えてあげることで、困難に立ち向かえるようお手伝いするだけです。
薬による治療に抵抗がある方もいるでしょう。
逆に、なんでもいいから良くなる薬が欲しいという方もいるかもしれません。
やはり自分自身がうつと向き合い、そして医者も個々の患者さんとしっかり向き合うことが非常に大切なのです。
他の病院からうつが治らないといって受診する患者さんもいます。
たいてい、薬がテンコ盛りになってます。
そのような医者は、患者さんとちゃんと向き合っていません。
ろくに患者さんの話も聞かず、症状に対して薬で上塗りしてごまかしているだけです。
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