私はときどきランニングにはまるときがあります。
ランニングを継続的にできているときは、とても心身ともに良好です。
走ると疲れるけど、でも逆に体調は良くなる、と思ってました。
でも「走る」ということと、「体調がよい」ということは、相関関係にはありますが、果たして「因果関係」はあるのでしょうか。
つまり、走るから体調がよいのか、あるいは体調がよいから走ろうという気持ちになるのか。
話は変わって、私の専門とする心療内科での話。
なかなかよくならないうつの患者さんがいます。
調子が悪いと外に出たくなくなります。人に会いたくなくなります。
これも同じです。
調子が悪いから外に出ないのか。外に出ないから調子が悪くなるのか。
おそらく、両方なのです。
そしてそれが相互作用し、悪循環を招きます。
このようなとき、私はよく言います。
「ちょっとがんばって行動して、脳を変えるんだ!」と。
ちなみにうつの人に頑張れって言ってはいけないといいますね。
これはニュアンスによります。
突き放し系の頑張れ、は禁忌です。
寄り添い系の頑張ろうね、はOKです。
行動して、脳を変えるとはどういうことか。
引きこもりがちの人は、毎日ごく狭い空間で生活し、同じようなことしかせず、基本的に脳に刺激が入りません。
そうなると脳はどんどん縮こまってしまいます。
ニューロンとニューロンをつなぐシナプスが、どんどん脆弱になり、しまいには途切れてしまいます。
そしてなんと、脳は本当に萎縮してしまうんです。
調子よくなったら外出しよう。
そういう考えだと、一生外に出られません。
そうではなくて、ほんのちょっとでもいいから、昨日よりも行動を広げる。
外にどうしても出られない人は、窓を開けて外の空気をしばらくすってみたり、玄関の外に一歩出てみたり。
小さなことの繰り返しで、シナプスを強くしていくのです。
抗うつ薬なんて、ちょっとしたサポート役にすぎませんね。
セロトニンやドーパミンを増やして、そういった行動のお手伝いをするだけです。
こんなことは、精神科の授業では教えてくれません。
なんとなく体感で構築した理論でした。
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